チョギャム・トゥルンパ「タントラ ―狂気の智慧」を『楽書記』。
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仏陀の遺した言葉を変化球的人物チョギャム・トゥルンパ(1939-1987)が解いていく。某シーのアトラクションを思い出す名前です。彼は幼少時チベットで英才教育を受け後年は西洋に仏教哲学を広めた人物で、独特の例えや言葉の選び方がYoutubeとかが向いてそうなノリで、今の時代の方が生きやすそうだなと思っていたら、晩年はアルコール依存に悩まされていたそう……。
ちなみに、例えばタイトルの言葉チョイス自体「狂気=Crazy」だし(アメリカ人に受け入れやすくするためだろうけれど、この手の本ではあまり見かけない単語)、文章の中で使用されている言葉も「宇宙的冗談」「馬鹿」「グルの偏在」などと言った感じ。もちろん「八正道(目覚めた状態に至る八つのポイントで、釈迦が最初の説法で説いたとされる)」などのベーシックな語りもある。ただ、やはり、終始そう言った人間をディスったような言葉のチョイスで文章が進んでいくので、とっても読みやすい。
八正道を本書より、抜粋
八正道=目覚めた状態に至る八つのポイントで、釈迦が最初の説法で説いたとされる
「正見(正しい見解)=前もって判断したりしないあるがままの円滑な状況」
「正思惟(正しい意図)=喜びや苦しみなどどんな混合物も含まないストレートな人生」
「正語(正しい発言)=こうだと思いますではなく、こうですといえるコミュニケーション」
「正業(正しい道徳)=自分の生活を真っ正直にシンプルなものにする」
「正命(正しい生活)=労働しお金を稼ぐ」
「正精進(正しい努力)=日常的な状況に目覚め心を開放する」
「正念(正しい精神集中)=自身だけでなく身の回りに起こるすべてのことに目覚めている」
「正定(正しい没入合一)=非二元的な状態での完璧な没頭」
「タントラ ―狂気の智慧」本書よりフレーズ抜粋
自分の知的洗練度はさておき、謙虚になるべきだ。そして、自分の心を実際に自覚することにかけてはまるで原始的だということを認めるべきだ。私たちは幼稚園レベルであって、十を数える方法も知らないのだ。したがって坐って瞑想をして、自分が馬鹿だということを知る。これはきわめて力のつく、かつ必要な方法だ。私たちは馬鹿者として始める。─ 70ページ
自分の不完全さをあるがままに、きわめて平静に受け容れられれば、それを道の一部として使いこなせるのである。だが自分の不完全さを取り除こうとすれば、それは私たちの敵となり、〈自己発展〉途上の邪魔物になるだろう。─ 70ページ
ゆえに自覚とは、心をゆきわたらせた結果発見したものに執着しないという意志であり、心をゆきわたらせることとはただ精密であること、つまり、ものごとのあるがままであることである。心をゆきわたらせるということは、自覚の先鋒とも言える。─ 77ページ
宇宙に対し完全に自分を開くことができれば、知的、あるいは努めて直観的になったりすることでこうしたことがらを処理してゆこうとする必要はなくなる。宇宙からの指令は明確になってくる。知覚するものすべてが話しかけてくるからである。─ 204ページ
先日、友人にもらった萩原孝一「スピリチュアル系元国連職員、再び吼える!」と言う本でも、謙虚さの話が書かれていた。誰か一人の「他人」に対しての謙虚さではなく、「宇宙」に対する「地球」に対する謙虚さ、それなら、すぐに出来そうだし真にその気持ちがあれば、結果的には一人の人間に対しても謙虚でいられる。
意識の中に「私たちの地球」という驕り高ぶった思いがあるのではないでしょうか。正しくは「地球の私たち」です。人類はこの星のほんの一部にすぎないのですから。─ 69ページ
それにしても、これもですか!チョギャム・トゥルンパの本がとんでもない高値になっている……けれど、図書館にあったのでお金を掛けずに読ませて頂きました、感謝。ちなみに下にリンクを貼ったインド人ラマナ・マハルシ「ラマナ・マハルシとの対話」は、kindleUnlimitedの会員だと無料で読めるのでその辺から入る方が良いかも。正直、日本ではあまり知られていないチョギャム・トゥルンパと言う人に辿り着いたのが私も謎。スピリチュアル系の本は結構な割合でkindleUnlimitedで¥0だったりするのでおススメですが、結果一度なるとなかなか会員を……やめられないのが辛い。色々諸々、節約したいのに。