不可思議探偵団_心々の楽書記

地球探索を楽しみながら、ときどき愚痴る

クリシュナムルティ本、おススメの8冊

本日は、クリシュナムルティの数ある書籍の中から、おススメ本ベスト8を『楽書記』。とはいっても、全部を読んだわけではなく16冊読んだ中でのベスト8となりますので、悪しからず。

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クリシュナムルティとは?

おススメ1位「既知からの自由」

2位「英知へのターニングポイント」

3位「生と覚醒のコメンタリー」

4位「最後の日記」

5位「子供たちとの対話」

6位「あなたは世界だ」

7位「クリシュナムルティの瞑想録」

8位「時間の終焉」

番外編:伝記三冊 「目覚めの時代」「実践の時代」「開いた扉」

 

ジッドゥ・クリシュナムルティ(1895-1986)は、南インドの貧しいバラモンの司祭階級にあたる家に生まれの哲学系宗教家、と言うのが近い肩書き。幼少期より父親が働いていた神智学協会において世界教師としての教育を受け、後に「星の教団」の指導者となるが1921年に解散。以降は、組織を作らずに世界各地へ赴き、さまざまな講話や対話を行った。彼は、愛や瞑想、今この瞬間を生きると言った直観的、感覚的な内容をそれだけで済ませることなく、一つ一つ誰もが解る言葉に徹底的に変換し、丁寧に説明を試み人々に伝えようと努力した人。

 

::クリシュナムルティおススメ本、第1位!

「既知からの自由」

一冊だけをおススメするとしたら、この本。本の厚みは他と変わらないのに圧倒的な読み応えがある。とくに、翻訳者(大野龍一氏)の、クリシュナムルティが伝えたいと思っている言葉だけではなく、その一言に含まれている空気感や、一言も漏らしてなるものか!な鬼気迫る感を感じられる翻訳本。さらに途中途中その言葉が何を指すか注釈以上の解説もあるほどの念の入れよう。本自体は全ページ講話を収録しているのだけれど、辞書も一緒に付属しているような充実感。この本を最初に読むと、他のクリシュ本をいくら読んでも物足りなくなる心配すらある。お陰で、切り取りたいフレーズが山のようにある、ただ、いつもクリシュナムルティは一部でなく全体を観ることを説いています。

自分が幸せにならねばならないというまさにその欲求の中に、不幸があるのです。善良たらんと努めるとき、まさにその善の中に反対物、悪があります。肯定的なものはすべて、それ自身の反対物を含んでいます。そして打ち勝とうとする努力が、抗っているその当のものを強化してしまうのです。─ 157ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 2 位!

英知へのターニングポイント

彼が伝えたい諸々を網羅している、初めて読むクリシュナムルティ本として丁度良い。こちらはスイスのザーネンと、オランダのアムステルダムで1981年に行われた講話の速記録で、思考、葛藤、秩序、恐怖、時間、悲しみ、愛、死、宗教が余すところなく語られいるし訳も読みやすい。この種の本は翻訳者が重要になるとつくづく思う。ひとまず「大野純一」氏の名前がある本は安心安全感がある。

あなたがバラや花を言葉なしに、その色を名づけることなく、ただ見れば、その見ることが鋭い感受性を生み出して、頭脳の無気力感を打ち破り、驚くべき活力をもたらします。思考と時間に無関係な純粋な知覚がある時に、全く異なったエネルギーがあるのです。─ 46ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 3 位!

「生と覚醒のコメンタリー―クリシュナムルティの手帖より〈1〉」

こちらは、全4巻シリーズの第一巻。クリシュナムルティの本を初めて読む時に程好い一冊。翻訳で使用されている言葉の難解さ加減も程良く、読んですぐこの作品から読み始めればよかったと思った。本書は「刻々」を観察する描写ではじまり様々な人からの質問に応える形で進んでゆく。5ページ前後で区切られているのも読みやすい。ちなみに他の書よりも「あるがまま」と言う言葉が多く登場したように思う。

願望は常に未来に関わるものであり、何かになりたいという願いは、現在において何もしないことである。現在は明日よりもはるかに重要な意義を持っている。いまの中に一切の時間があり、そしていまを理解することがすなわち、時間から自由になることなのである。何かになろうとすることは、時間を、悲嘆を持続させることである。なることは、あることを含まない。あることは、常に現在におけることであり、あることは、変容の至高形態である。─ 7ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 4 位!

「最後の日記」

講話を翻訳している他の本とは明らかに趣旨が違う、やわらかい詩集の様な本。もちろん、他の本にもあるような、誰かの言葉に囚われないこと、今ある自分やその全体の状況をよくよくよく「観察」することを説いている。とくにこの本は「観察」に重点が置かれていて、彼が「そこにあるすべての今」を観察しその囁き(=実況)をテープに吹き込んだような感じで進む。読んでいると自分自身も景色の一部になったようなナチュラルさがある。クリシュナムルティがよく「観察」と言っていることの全体像は、この本が一番解りやすく表現されている。

動物は、人間を他の何よりも恐れる。神を信じ、祈りもするが、金があると銃を手に入れ、気まぐれに命を奪うからである。─ 29ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 5 位!

「子供たちとの対話―考えてごらん」

クリシュナムルティが話す時に醸す空気が他より感じられる訳し方だと思う。……愛はただそこにあるもの……と彼が話すように、言葉の意味が切り取られないように言葉そのものに焦点が当たらないように話しているし、それが解るように訳されている。こどもや学生の勢いある質問にクリシュナムルティが真摯に応えている姿を読んでいると、世界で若さが重宝される理由がよく解る。また、子どもだけでなく教育に携わる大人からの質問にも応えている。

あなたがあなた自身の光であること、あなた自身の師と弟子であること、教師でもあり学生でもあることです。学びつづけているかぎり、教師はいないのです。教師が生じてくるのは、あなたが生の過程全体を探究し、発見し、理解するのをやめるときだけ、です。─ 69ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 6 位!

「あなたは世界だ」

「子供たちとの対話」と同じく瑞々しさのある質疑応答を読めるのがカリフォルニア、スタンフォードなど4つの大学で行われた講話を集録したこの本。場所が大学なだけに質問者も学生が多いためか、質問者側のまだクリシュナムルティの話に懐疑的で半信半疑な姿勢が透けて見え、攻めたやりとりが読めるため、他の書籍とは違った面白さがある。

自分自身のなかに世界があるのですし、自分自身のなかに全人類があるからです。─ 186ページ

::クリシュナムルティおススメ本、第 7 位!

「クリシュナムルティの瞑想録」

こちらはインド、カリフォルニア、ヨーロッパでの対話収録と、ずっと個人的に気になっていた1929年8月2日の「星の教団解散宣言」の演説が掲載されている。また、かなりザックリだがクリシュナムルティの伝記風な訳者の解説(安心安全の大野純一氏による)も読めて楽しい。「絶えず人生の目的を探究するということは人間が陥りやすい奇妙な逃避のひとつである。」とは目耳心がイタイ、その他に痛くなったフレーズを抜粋。

学ぶことは抽象でも観念でもなく、具体的にあることについて実際に学ぶことである。現に行為がなければ学んでいるとは言えないのであって、あなたは行為のただなかにおいて以外自分について学ぶことはできない。まず自分について学び、しかる後にその知識に基づいて行為に移るというのであれば、その行為はあなたが蓄積した知識に従った模倣に陥ってしまうのである。─ 218ページ

クリシュナムルティおススメ本、第 8 位!

「時間の終焉」

1980年4月から9月にかけて米国と英国で行われた、クリシュナムルティ理論物理学者デイヴィッド・ボーム(1917-1992)の対話が収録されている。クリシュナムルティが一方的に話し続ける講話タイプも良いけれど、こういった対話形式はまた違った楽しさがあるが、いつも以上に理屈に理屈を重ねまくっていたり、それを言っちゃっあオシマイではな会話も出てくるので、心して読む必要がある一冊。また、いざ会話をその通りに文字にすると同じ事を何度も言っていたり突然話が飛んだり指示語が多くて驚くほど読みにくい場合があるけれど、この本は無駄な指示語の表記や繰り返しの表現がなく読みやすいのでご心配なく。

 DB:しかし、ここで伝えておくべき要点は、微妙あるいは明白な、どのような種類の知識も心理的な問題を解決することはできないということです。それは問題をかえって悪化させるだけなのです。しかし、もし知識が介在しなくなれば、何か別種のエネルギーが生じてくるのです。

K:今、何が起こっているかご存知ですか?もし何らかのトラブルが生じると、私は心理学者のところへ行くのです。家庭内で何かもめごとが起こると、どうしたらいいか教えてくれる人のところへ行くわけです。私のまわりのあらゆるものが組織化されつつあり、私をますます無力にしていくのです。これが今起こっていることです。

::番外編 伝記三部作

「目覚めの時代」「実践の時代」「開いた扉」

全三巻で、インド人の哲学系宗教家クリシュナムルティの全生涯を網羅する勢いで書かれているヘビー級な自叙伝。読むと霊媒体質に苦しんでいる様子や、周囲の近しい人との確執や別れ、教団運営の難しさなどが伝わってきて、気の毒に感じる面も多い。番外編としたのは、この三部作は他の講話本を読んでから読むのが丁度良い感じです!ということ。他では決して匂わせなかった「解脱」とか「霊媒体質」に苦しんでいる5次元話しが出てくる。彼の本から何か特別なメッセージを得たいのではなく「ただクリシュナムルティ自身をもっと知りたい」人のための本。

「今日戦争を止めないから、明日は戦争に行くでしょう。ですから、簡単に言えば今が未来なのです。」─ クリシュナムルティ自叙伝3巻「開いた扉」より

お終い。